シャンプーには、頭皮や髪の汚れを落とすために界面活性剤が入っています。
界面活性剤はどんな種類があって、どんな特徴があるんでしょうか。
そして…どうやって、汚れが落ちるんでしょうか?
今回は、大学で界面活性剤の研究に没頭した私が、シャンプーで汚れが落ちる原理を解説していきます!
1.界面活性剤とは
そもそも「界面活性剤」とは、なんでしょうか?
界面活性剤(かいめんかっせいざい)とは、分子内に水になじみやすい部分(親水基)と油になじみやすい部分(親油基・疎水基)を持つ物質の総称。ミセルやベシクル、ラメラ構造を形成することで、極性物質と非極性物質を均一に混合させる働きをする
[Wikipediaより]
どーゆうこと??って感じですよね。
界面活性剤で大切なポイントは次の2つです。
- 水にも油にも溶ける性質がある
- 油を水に溶かすことができる
専門的にいうと、「溶ける」よりも「乳化する」や「分散する」が正しいですが…
「溶ける」のほうが分かりやすいので、溶けると表記します
このポイントを生かして、洗剤やシャンプー、化粧品などなど…たくさんの製品に入っています。
水と油はまざりません
水の上に油をたらすとどうなるでしょうか。
油は水の上にぷかぷかを浮いて、混ざり合いません。
その理由は水と油形作っている、分子を見ると分かります。
分子は形が似ているもの同士はよく混ざり合う傾向があります。
ですが、水と油は分子の形が全然似ていません!
なので、お互いに混ざり合わず、水と油が分離するんです。
界面活性剤はどんな形なの?
本来なら分離してしまう油を水に溶かすことができる、界面活性剤の分子はどんな形をしているんでしょうか。
界面活性剤は分子内に水になじみやすい部分(親水基)と油になじみやすい部分(親油基・疎水基)を持つ物質でした。
界面活性剤は水と油が接している境界(界面)に集まります。
水と油の両方に作用して油を水に溶かします。
シャンプーでも、この界面活性剤の作用を利用して汚れを落としています。
2.シャンプーに界面活性剤が必要な理由
シャンプーになぜ界面活性剤が必要なんでしょうか?
頭についたほこりや汗(水分と塩分)はお湯で洗い流すことができます。実は、シャンプー前の予洗いで70%くらいの汚れを落とすことができます。
ですが、残り20%の水に溶けない皮脂や整髪料(親油性)汚れは予洗いで落としきることができません。
皮脂や整髪料は水に溶けない親油性の汚れです。
この汚れを落とすために必要なのが、界面活性剤です!
界面活性剤の作用とは?
汚れを落とす界面活性剤には複数の機能があります。
この機能が連携し合って、汚れを落としていくんです!
気泡
界面活性剤を溶かした水は、空気をとりこんで泡を作ります。
その泡を壊さないようにするので、泡立ちがよくなります。
浸透・乳化・分散
界面活性剤は水と汚れ(油)の境界をなじませ、汚れを浮かせます。
汚れをつつみこんで、汚れが水に溶けていきます。(分散していきます。)
再付着防止・帯電防止
界面活性剤が汚れを包み込んでいるので、一度離れた汚れが再び髪や頭皮にくっつくのを防ぎます。
髪へのコンディショニング効果で髪が帯電することも防ぐことができます。
殺菌効果
雑菌も油になじみやすい性質があるので、界面活性剤には殺菌効果もあります。
界面活性剤には、いくつかの種類があります。
汚れを落とす以外にも髪の帯電を防止する効果があるので、コンディショナーやリンスにも入っているんですよ!
3.界面活性剤の種類ってどのくらい?
界面活性剤は水に溶けたときの分子の状態から、4つに分かれます。
それぞれの特徴を表にまとめました。参考にしてみてください!
表を作るために界面活性剤とは?シャンプーの気になる成分を学ぼうを参考にしました。
種類 | アニオン性界面活性剤 | カチオン性界面活性剤 | 両性界面活性剤 | ノニオン界面活性剤 |
構造 | ||||
水に溶けるとマイナスのイオンを帯びる | 水に溶けるとプラスのイオンを帯びる | pHによって、プラスイオンにもマイナスイオンにもなる。 | 水に溶けてもイオンを帯びない。 | |
特徴 | 洗浄作用に優れている 乳化・分散性に優れている | 帯電防止効果 柔軟作用に優れている | 他の界面活性剤との相性で、効果を発揮する。 | 乳化に優れている 親水性と疎水性のバランスが簡単に調整できる |
用途 | シャンプー ボティーソープ 衣料用洗濯洗剤 | リンス・コンディショナー トリートメント シャンプー 衣料用柔軟剤 | 低刺激性のシャンプー ベビーシャンプー ボディーソープ 台所用洗剤 | 衣料用洗剤 |
ノニオン界面活性剤はシャンプーやコンディショナーには入っていません。
- アニオン性界面活性剤
- 両性界面活性剤
シャンプーに入っている界面活性剤はこの2つです。
洗浄成分としてシャンプーに配合されているのは4種類あります。
- アニオン性界面活性剤 → 高級アルコール系、アミノ酸系、石鹸系
- 両性界面活性剤 → ベタイン系
4つの洗浄成分について詳しくまとめているので、そちらも合わせて読んでみてください!
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4.どうやって汚れが落ちるの?
界面活性剤はどうやって頭皮や髪から汚れを落としているんでしょうか。
汚れが落ちていく順番をまとめました!
- 水に溶けると水と汚れの境界に集まってきます。
- 汚れの周り集まった界面活性剤は汚れを包み込みます。
- 界面活性剤に包まれた汚れは、髪表面から浮き上がり水中に溶けていきます。
こんな順番で、汚れを落とすことができます。
界面活性剤の種類が違っても、汚れが落ちていく順番は一緒です!
5.界面活性剤と上手に付き合うためには
界面活性剤は大きく分けて4種類ですが、分子の形の違いでとってもたくさんの種類があります。
洗浄力の強さもそれぞれ違い、それぞれの界面活性剤にそれぞれの特徴があります。
油汚れは水だけでは落としきれないので、界面活性剤は私たちの生活に無くてはならない存在ですよね。
ただ、上手に使っていくうえで注意も必要です。
それは、すすぎをしっかりとすることです!
シャンプーに入っている界面活性剤が頭皮に残ってしまうと、炎症を起こしたりしてしまい、頭皮トラブルにつながってしまいます。
汚れが頭皮に残っているのも頭皮トラブルの原因になりますが…界面活性剤が頭皮に残るのも、トラブルの原因になってしまいます。
シャンプー後はじゃぶじゃぶ洗って、しっかりとすすぎましょう!
6.まとめ
いかがでしたか。
今回はシャンプーの界面活性剤の種類や働きを解説しました。
界面活性剤は頭皮や髪を健康に保つために必要な成分です。
正しく理解して、シャンプー選びに活用してください!